3.雄太くん6歳は初めてのおつかいで親切なおじさんに助けられる

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3.雄太くん6歳は初めてのおつかいで親切なおじさんに助けられる

 広瀬雄太は商店街の真ん中で立ち尽くしていた。  母から買い物を頼まれたのは1時間ほど前。家から商店街までは3分で着くし、お財布もちゃんと持ってきているからすぐ終わる、そう思っていたのだが……  半ズボンのポケットの中から母に渡されたメモを取り出してみると、そこには思いがけず難問が待ち構えていた。  道の真ん中で立ち尽くす雄太を見て、五十代と思われる男性が声を掛けてきた。 「坊や、どうしたんだい?」 「うん、ママからお買い物頼まれたんだけど、難しくてよくわかんない」 「どれどれ、ちょっと見せてごらん」  親切そうなおじさんだったので母に渡されたメモ書きを渡してみる。 「メロン男爵か、随分と不親切な書き方だねぇ」 「メロンは僕にもわかるよ。男爵ってなに?」 「ああ、男爵ってのはジャガイモのことさ。つまり君はくだもの屋さんに行ってメロンを買って、それから八百屋さんに行ってジャガイモ買ってくればいいってこと」 「そっかー、おじさんありがとう!」  元気よく駆けだしていく雄太。 「あんな小さな子供にお使いさせるのにジャガイモの銘柄まで指定するなよ。まったく近頃の母親ときたら……」  雄太の背中を見送るおじさんの顔には苦笑が浮かんでいた。
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