世界の崩壊と共に

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世界の崩壊と共に

部活にも入っていない僕は家に帰ってゲームをする。 「っぁあー!!!やっぱ強いなぁ、ここのボス…」 静かにやりたいと思いつつも出てしまうのが独り言というものである。 そろそろ晩御飯かなと一回に降り…ふと嫌な予感がした。 「……?」 母さんがいない。 出かけるなどと言う話もなかったはずだ。 と言うより、出かける時は必ず部屋に入ってくるはず……。 おかしい。 僕の直感が言っている。 なんでかわからない。 でも、何か重大な何かが起こっている気がしてならない。 僕はスマホと充電器、そしてお金をカバンに詰めて家を飛び出した。 目の前に広がるは雨降る灰色に淀んだ世界…………、 ではなく、 月と真っ赤な空だった。 夕日ではない。 血の色の……真っ赤な空と、白い月。 そして気がついた。 なんで僕は充電器まで持ってきちゃったのか…………? 呆然と立つ僕の視界に映ったのは、白く、なめらかになびく服。 「やっと見つけた。これ、傘!ありがとうございました!」 え???? いや。 え? なんでここに? いやそもそもなんでこの世界に違和感を持たない? 「憎めない笑顔」のお手本のような表情で話しかけてくる彼女は今朝と変わっていなかった。 「ぇ、いや、はぁ、どうも……」 頭にははてながいっぱいだ。 どゆことよ、これは。 「……世界の崩壊が始まったんだ」 「え?」 彼女は突然真面目な声で言った。 「世界の崩壊が始まったんだ。ほら、あれ……」 指さす先には空間の割れ目があった。
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