神様とトモダチと君

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神様とトモダチと君

「あ、あれは……っ?」 唖然とする僕に、彼女は苦笑して……ある物語りを語り始めた。 「昔、人は神を、なんでもしてくれる存在として扱っていたんだ」 “昔、人は神を、なんでもしてくれる存在として扱っていたんだ。 もちろん、神だって気まぐれだし。心は人間と同じように作動していた。 神はたった1人で世界を見てきた。 それじゃぁ寂しいでしょう? そこで神はトモダチを造ったんだ。神に似合うトモダチを。 トモダチはいつも優しくて……勇敢で、神は2人で世界を見守るようになった。” 「そのままなら平和だったんだけどね……」 彼女は記憶を辿るように目を瞑った。 「そのトモダチに、寿命がきて─── 死んでしまったんだ」 世界の核に触れてしまった。 直感的にそう感じた。 「さぁ、ここからはもう予想がつくでしょう?」 「……」 「別れをはじめて自ら経験した神は慌てた……。それはもう、考えがおかしくなるほどに。地上の動物はもっと多く経験するはずだ、それならばいっそ全てを同時に終わらせてしまおう、と」 彼女はそう言ってため息をつく。 僕は映画を見ているような気分で彼女の話を聞いていた。 どうにも、ファンタジーな世界……。 生き残れるのは“主人公たち”だけだろう。 「ってことでさ。ちょっと手伝ってくれないかな?」 「へ、……僕?」 「うん、君」 「な、何をですか……?」 「そりゃぁもっちろん!」 「世界を守るんだよ!」 あぁ、なるほど。 僕は勇者ポジに選ばれたようだ。 望むのは、これがハッピーエンドであること……。 なんて、ゲーム漬けの僕は全部思考が二次元だなぁ。 「ところで、君の名前は?」 「僕は……朝陽。夕凪朝陽です」 「私の名前はね……───
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