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雪洞に閉じこもってどれぐらいの時間が経ったのだろう。
登山中、天候の急変により、俺たちは突然の猛吹雪に襲われた。
一歩も動けなくなって、雪洞を掘り、避難したのがはるか昔のことのように思えた。
狭い雪洞の中で寝そべり続けていた俺の体は、雪洞の入り口を見るためにちょっと上半身を起こしただけでギシギシと軋んだ。
雪洞の入り口、そこから見える外界は相変わらず猛吹雪が吹き荒れていた。
ゴウゴウとうなる風の音は聞き続けていると、こっちへおいでと呼んでいるように思えた。
それは天使の誘いか悪魔の罠か、どっちにせよこのままではその誘いに乗って人間界ではない所へ行くことになるなと、俺は生のタイムリミットがずいぶん少なくなっていることに気づいていた。
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