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第一章
入学式。
私は小学生の頃から親友のシャオラン、ネムと同じ高校に進学し、奇跡的に同じクラスになった。
「ねーねー、二人はさ部活何に入るか決めた?」
「まだ未定です」
「私は絵が好きだから美術部にしようかなって思ってる。咲耶は?」
「ふふふ・・・・・・良くぞ聞いてくれた! 聞いて驚くことなかれ。私は新しい部活を作る!」
「えー!」
目立ちたがり屋の咲耶は昔から人と違う選択肢をよく取る。高校に行かずにアイドル一本にする!と言い出した時は驚いたが、色々と事情が変わったらしい。
「普通に部活に入っても面白くないじゃん? それなら新しく作って初代部長になろうと思って」
「えっと、確かに面白そうだけどさ、一体何の部活を作るつもりなの?」
「それはね・・・・・・ミステリー部を作るつもり!」
「え、ミステリー部? 咲耶、ミステリー好きだっけ?」
「実は最近ミステリー小説にはまってさ。おじいちゃんの書斎に沢山本があって、その中にミステリー小説があったの。気まぐれで読んでみたらかなり面白くて! 私もミステリー小説のように謎解きをしたいなと思ったの」
長年の関係にはなるが、新たな一面を知ってネムは新鮮な気持ちを抱いた。
「そこでなんだけど・・・・・・二人とももし良かったら記念すべき初代メンバーに入らない?」
「えー!」
「いいからいいから。どうせ1度きりの高校生活なんだし面白いことやろうよ!」
半ば強引に誘われたが、まぁ咲耶とならいっか、と妙に納得した二人は早速、生徒会に部活動の申請書を提出し、無事入部に至った。
「というか、何か謎解きしたい案件でもあるの?」
「うん、実はあるんだ! 二人はさ『サトシ・ナカモト』って人知ってる?」
「誰それ?」
「聞き馴染みは全然ないよね。でも二人ともビットコインはお小遣いで持ってるよね?」
「はい。この前やっと五万円分貯金できました」
「おっ、シャオランすごいじゃん! 実はその裏側の仕組みを作った人が『サトシ・ナカモト』なの」
「へー。日本人が作ったんだ」
「いや、実はそうでもなさそうなの。というか正体も消息も一切不明。謎のベールに包まれていて誰も知らないのが現実なんだよね。これはミステリー部初の案件に相応しくない? つまり『サトシ・ナカモト』は一体誰なのか解き明かそうと思うの!」
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