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第二章
「おじいちゃ〜ん!」
「ん? どうした咲耶?」
「ちょっと質問があるんだけどいいかな?」
「うむ」
今日のところはひとまず解散した。一応、ネットで調べたりAIに聞いてみても憶測やデマが多く、確かな情報を得られなかったからだ。
そこで、書斎に技術書もあったことを思い出した咲耶は、学識がありそうな岩爺に尋ねることにした。
「おじいちゃんはさ『サトシ・ナカモト』って人知ってる?」
一瞬、眉間の皺がいつも以上に険しくなったような気がした。
「サトシか・・・・・・懐かしいの」
「えっ、知ってるの?」
「うむ。ワシもかつてサトシを追いかけたことがあるんじゃ」
「そうだったんだ」
「うむ。結局分からずじまいに終わったがの。未だにどんな人物なのか密かに探っている段階じゃ」
「へー」
「ところで話は変わるが、咲耶は伝説の忍術を知っておるか?」
「伝説の忍術ってクリプト絵巻のこと?」
「いや、クリプト絵巻とはまた別の存在じゃ。代々、甲賀の国では伝説の忍術が記された巻物を継承するのが通例なのじゃ。本来であればワシも先代から引き継ぐはずじゃったんだが、謎の覆面男に盗まれた。それがサトシだと言われている」
そんな伝説の忍術があることを全く知らなかった。
「まぁあくまでも噂じゃがの。誰もがこの世の終わりだと絶望した。なぜならその伝説の忍術は、どんな願いも叶えることができるからじゃ。だが、不思議なことにサトシは一度も術を発動しておらん。それどころか、術の印を九つに分け、九枚の論文にそれぞれ印を刻んだんじゃ。つまり、一枚の論文だけ集めても伝説の忍術を発動できない。九枚揃えてようやく効果を発揮できるんじゃ。きっと私利私欲のままに使われるリスクを減らしたかったのじゃろう」
「へー」
「数十年かけて任務の傍ら八枚の論文を無事奪取した。そして今は秘密の部屋に厳重に保管しておる。そこでじゃ咲耶」
「ん?」
「残り一枚を回収してもらえないじゃろうか?ワシも行きたいのじゃが、見ての通り体を痛めておってな・・・・・・」
どうやら先の任務で負傷した傷がまだ癒えないらしい。
「ちなみにもしも論文を見つけたら、褒美としてどんな願いも叶えても良いぞ」
「えっ、どんな願いも? やったー!」
もしかしたら論文を追えば、サトシの正体に迫れるかもしれない。それに願いも叶えられるって最高じゃん!咲耶は心躍った。
「うん。いいよ! おじいちゃん」
「おぉ咲耶、さすがワシの孫じゃ。ありがとう」
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