第三章

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第三章

ー翌日ー 時刻は夕方の十七時。 岩爺から話を聞いた咲耶は早速ネムとシャオランに事情を説明し、論文探しの冒険に出ることに決定した。 岩爺が示した集合場所は学校の理科室。部屋に入ると、化学特有の臭いが鼻を刺激した。化学薬品、顕微鏡、秤など、あまり触らない道具がある。中でも人体模型が気になった。 「人体模型なんて初めて見たー!」 咲耶が触れようとした瞬間、突然模型からギシッという音が聞こえた。 「咲耶、危ない!」 ネムのおかげで間一髪模型の攻撃から逃れた。咲耶が模型目掛けて手裏剣を投げようとしたその瞬間だった。 「ハハハ。ワシじゃよ」 岩爺が現れた。 「なんだおじいちゃんかー!びっくりさせないでよ」 「はー・・・・・・お主ら、分かっておらぬようじゃな。いかなる時でも集中力を欠いてはならぬ。任務は常に危険と隣り合わせじゃ。命取りに繋がるぞ」 「変化の術、解!」 いつも通りの岩爺が目の前に現れた。 「さてと、なぜ集合場所を理科室にしたと思う?」 さっぱり分からなかった。 「それはの、ここが論文がある場所と繋がっておるからじゃ」 すると岩爺は理科室の奥にある部屋まで歩き出した。 「普段はただの物置部屋なのじゃが、扉をこうしてこうすると・・・・・・」 何やら細工を施していたらしい。ガガッと鈍い音を出しながら秘密の扉が出現した。 「この扉の奥に論文が隠されておる。一応、念のためこれを持っておくと良い」 岩爺は三人に携帯用蝋燭を渡した。 「さぁ、扉を開けてみなさい」 咲耶はおそるおそる扉を開けた。中は暗くてよく見えない。 「ねー怖いよー。ネム先頭いかない?」 「部長はあんたでしょ。がんばれ」 シャオランに至っては、ネムの後ろに隠れている。 ごくり。咲耶は意を決して前に進んだ。しかし何も起きなかった。 「なんだ、大丈夫じゃん」 その時だった。突然、扉の奥からゴォーンというけたたましい音が聞こえた。そして、巨大な吸引機が中にあるのかと疑うほど体が吸い込まれそうになった。 「おじいちゃん!」 「咲耶!!」 咲耶は精一杯手を伸ばしたが岩爺に届かなかった。そして三人は扉の中に吸い込まれてしまった。
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