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第四章
「・・・・・・イタタタタ」
ここはどこなのだろう?暗すぎてよく見えない。そうだ。
「あっ、そうだ」
咲耶は岩爺から渡された携帯用蝋燭を取り出し、術を発動した。
「火遁の術!」
蝋燭に火が灯った。これで自分の状況が分かる。
「おじいちゃん、ありがとう」
辺りを見渡すと円形のほこらだった。どうやら洞窟に迷い込んだらしい。すぐそばにはネムとシャオランがまだ横になっていた。
「ネム、シャオラン起きて!」
何度も体を揺すってようやく二人は意識を取り戻した。
「あっ、咲耶さん・・・・・・ここはどこですか?」
「うーん。どうやら洞窟にワープしたみたいだよ」
「なるほど。洞窟か、ってあれ・・・・・・? あそこに道がない?」
ネムが指差した先には確かに道があった。だが、よく見ると他にも二本の道があり、合計三本に別れていた。他に道はなく、どう考えても前進するしか選択肢はないようだ。
「咲耶、どうする?」
「うーん、そうだね。三人別々の道を通らない? 確かに同じ道を通る方が安心感はあるけど、何かあった時に救援できないし。それに論文探しも早く済みそうじゃない?」
「私は賛成。シャオランは?」
「私は怖いです・・・・・・」
シャオランはどこか不安げな様子だ。すると、いつの間に現れたのだろうか。パンダのリーリーがシャオランに近づき「大丈夫だよ」と声をかけた。シャオランは少し安堵した表情になった。
「もしも何かあった時はすぐに笛を吹いて呼んで」
一応、家から持参してきたものだ。ネムとシャオランはこくりと頷く。
「咲耶はどの道通る?」
「私は真ん中、ネムは左の道、シャオランとリーリーは右の道をお願い!」
「分かった。気をつけてね」
「怖いですけど、頑張ります・・・・・・」
三人はそれぞれ別の道を歩き出した。
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