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ー咲耶サイドー
どれだけ歩いたのだろうか?その間、何も無かったのが逆に咲耶を不安な気持ちにさせた。相変わらず一寸先は闇だ。二人は大丈夫なのかな?そう心配していると、何やら紙らしきものが落ちていた。
「まさか。あれは論文なのでは・・・・・・?」
咲耶は急いで駆け寄り、手に取って確認してみた。紙には英文と図式が載っている。年季物なのだろう、紙は茶色く日焼けしていた。
「やっぱりそうだ。読んでも意味不明ってことは多分論文だ」
案外簡単に見つかったな。
楽勝任務すぎてこれで良いのかな?と考えていた次の瞬間、突如頭上から奇声が聞こえた。
「ウォォォォォ!」
気付いた時には遅かった。巨大な生物が咲耶を襲撃した。
「うわぁ!」
なんとか致命傷は避けたが、相手の素早い動きに順応できず捕まってしまった。
恐る恐る相手を見た。ニ階建ての一軒家ほどの大きさで、足が八本。濃い赤色で左目はなぜか隻眼である。
その姿からようやく相手が巨大なタコだと判明した。咲耶の体は強力な吸盤で拘束されたが、何とか手だけは動かせた。
「分身の術!」
分身咲耶が現れた。
「ねー私、急いで笛を吹いて二人を呼んで!」
「うん」
分身咲耶は肺が破裂しそうなほど目一杯吹いた。「ピー!」という音が洞窟内をこだました。
「うるさい奴め。くらえ」
巨大タコは瞬時に分身咲耶を攻撃し消滅した。さらにオリジナル咲耶の手をギュッと拘束し、印を結べなくさせた。
誰か助けて...。
ーネムサイドー
「なんだろう、これは?」
洞窟内には奇妙な壁画が刻まれていた。丸や四角の模様があり、そこに人と思わしき人物が至る所に散見されている。太古のものなのか、何を意味するのか全く理解できない。これも部活で解き明かそうか、なんて考えていた時、突然「ピー!」という音が聞こえてきた。
「この音色は・・・・・・咲耶に違いない。何かあったのだろうか? 絵が気になるけど一旦後回しにしよう」
音の鳴る方へ急いだ。
ーシャオランサイドー
「ねーねーリーリー、怖いよー」
リーリーはどんどん前に進む。シャオランはリーリーの後を追いかけることしかできなかった。すると突然「ピー」という音が聞こえた。
「この音色は咲耶さん? リーリー、怖いけど行くよってあれ?」
リーリーは勝手に音が鳴る方に向かって走っていた。
「待ってリーリー!」
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