雪の思い出

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 私達が宿題に取り組んでいる間に、母はスーパーへ買い物に出掛けました。お天気の良さそうな時を選んで、モフモフの暖かいコートを着込み、毛糸の帽子を被って出掛けました。  毛糸の帽子は、遠く寒いところへ行く私達を案じて、祖母が編んでくれた物でした。私と弟とにも、色違いで編んでくれましたので、寒い雪の降る日も平気でした。  もし、帽子を忘れて行こうものなら、寒さで頭がキーンとしてしまいます。  外へ出たなら、ガードレールや信号機の柱には、素手では触ってはならないと、教えられました。気温が低いので、金属に触るとそのまま、凍りついてしまうのです。無理矢理剥がすと、皮が剥けてしまうことも、有るそうです。  買い物は大抵週末に、父も一緒に家族で出掛けましたが、それでも日々の買い物は、必要になります。そんな時母は、嬉々として出掛けるように見えました。    子供の頃から、雪の少ないところで育った母は、雪に憧れを持っていましたから。
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