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風紀委員長の鬼龍斎 雅先輩は、会長と同じく三年Sクラスに所属し、常に会長と同じく学年首席。文武両道のエリートしか選ばれない、完全スカウト制の風紀委員会に一年生の時から選ばれ、抱かれたいランキング一位と、これまた超人だ。
琉華様の直系であり、会長とは遠い親戚関係にある。
会長とは違う、けれど同じくらいのカリスマだ。
白磁の肌に緑青色の肩までの髪より少し上までの髪、金の瞳のイケメンである。
会長と委員長がすれ違う際に醸し出した不穏な空気に、ステージ上の周囲がピリつくのがわかる。
しかしそれも一瞬で、すぐに響いた本日二度目の黄色い悲鳴にかき消された。
「キャアアアーー!!!」
「委員長様ーー!!」
「相変わらず委員長様もお美しい…!」
「タイプの違う攻め様がきたな…!」
「静粛に」
そしてまたもや一瞬で静まり返る。デジャヴだ。
ここは王道学園であるため、生徒会と風紀委員会、特に会長と委員長は不仲なのだ。
会長と委員長、というか“鬼龍院”と“鬼龍斎”の確執には、私も原因の一つとして関わっているため、罪悪感がハンパない。
その後理事長の挨拶やらいろいろあり、恙無く式は終了した。
† † †
〔ある新入生のモブくんside〕
やあ、はじめまして。僕は名も無きモブ。
社会ではエリートとして見られているが、この学園では平凡中の平凡さ。
今日は待ちに待った高等部の入学式。
ようやく会長様や委員長様をはじめとした方々を見ることができるのだ。
わくわくと緊張でドキドキしていると、見たことのない、麗しい御仁の姿が目に飛び込んできた。
…嗚呼、なんと、美しい……!
その後、僕は会長様の圧倒的イケボで放心状態から戻ってきた。
式の後に聞いたところ、あの方は高等部からの編入生かつ人間でありながら副会長に抜擢された、清水 御幸様だと教えられた。
僕が副会長様の親衛隊に入隊すると決めた瞬間であった。
† † †
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