卯月   始まりの入学式

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卯月   始まりの入学式

「ーーーありがとうございました。続いて、ーーー」  今は、青藍学園の入学式の真っ最中。副会長である私、清水 御幸は、司会を務めさせていただいております。  それにしても、新入生の視線が五月蝿いですね。そんなに神子の愛し子が珍しいのでしょうか。  自己紹介が遅れました、私の名は清水 御幸、この学園で副会長をさせていただいております。  この学園の生徒会のメンバーと委員会の委員長の方々の選抜方法は少々特殊でして、毎年聖夜祭にて発表される抱きたい・抱かれたいランキングで上位だった方々が務めることになっております。  もちろん理由はあります。人間は例外ですが、他の種族は強ければ強いほど人間に似た容姿となり、美しくなるのです。  そのため、容姿端麗な者を選ぶこの方法は、有能な者を選ぶことができるのです。  私も、抱きたいランキングで一位、抱かれたいランキングで10位を獲得しました。名誉なのか不名誉なのかわかりませんよコレ。  ちなみに、私の種族は人間です。しかし、“神子の愛し子”と呼ばれる、生まれながらに神子様の加護が得られる体質のため、魔力も多いのです。  私は水の神子様からの加護をいただいているため、全属性であり、特に水属性の魔法を得意としています。  属性は、基本的には二つから四つ持っている方が多く、それ以上となると、属性の数が増えるにつれ、持っている方たちは減っていきます。全属性持ちはとても少ないのです。  属性は魂の色で決まるので、転生魔法を使わなかった場合の前世や来世とは変わることがあっても、今世では、特殊な例を除き、変えることはできません。  属性を持っていないとその属性の魔法は使えない、というわけではありませんが、持っている属性と比べると精度が低く、威力も弱くなります。 「ーーーありがとうございました。続いて、生徒会会長からの祝辞です。」  そう言った瞬間、新入生と在校生たちの黄色い悲鳴が響き渡りました。 「キャアアーー! 会長様ーー!」 「相変わらずお美しい…!」 「抱いてくださーーい!」 「圧倒的攻め様ktkr!」 「黙れ」  その声が発された途端、ピタっと悲鳴が止みました。  相変わらずのカリスマです。  
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