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容姿を偽装している理由は、至極単純だ。
神子の容姿の共通点として、狐の神子は、銀髪に、左が桜色、右が属性の色の瞳、それと狐の耳と九本の尾を持っている。桜の神子は、桜色の髪に、左が属性の色、右が銀の瞳を持ち、身体中に桜の花が咲いている。
肌の色も、淡い属性の色だ。
もうお分かりだろう。
目立つんだ。ものすごく。
徹底的に能力を抑えて、魔力の質を変え(魔力にも種族ごとの特徴がある)、弱く見せようとも、容姿がそのままだと一瞬でバレる。
バレたらヤバい。学園に入学したのは、ついでに学園生の性格を見極め、将来世界を担わせられる人材か確認するのも目的なんだ。そのためには、神子という圧倒的な上位存在だと知られると面倒だ。
あと、絶対媚びを売られまくる。嫌だ。
そういう訳で、容姿を魔法で偽り、能力を封印する制服や眼鏡、チョーカー、手袋を魔道具作成が得意な空の神子に作ってもらい、完全に魔法が得意なただの人間だと思わせている。
ちなみに、顔立ちは変えていない。しなくても認識を少し弄れば十分だからな。精神を弄るのは私の十八番だ。
…私が神子な訳がない、似ているのは神子の愛し子だからだ、と認識させるぐらいだからな? そこまで弄ってないぞ?
(フフッ、精神を弄る発言で少し引いている奴もいるだろ)
そうか? そこまで引くことでもないと思うが…。
これくらい普通だろ。
(神子にとっては、な)
少し呆れた声に、反論しようとしたその時、
「せいぜい俺に迷惑をかけないようにしつつ、学園生活を楽しめ」
会長の祝辞が終わった。
「キャアアアアああああ!!」
「もちろんです鬼龍院様〜!!!」
またもや悲鳴が響き渡る。こんなんだと式が終わるまで何人気絶するかな。
なんてったって、次は、
「続きまして、風紀委員長から、諸注意の連絡です。」
会長と人気を二分する、風紀委員長の出番なのだから。
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