四の巻

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 数分後、街の中心部(自然派インテリアがいい感じのカフェ)では――。 「おいニンジャ、何だこれは!?」 「何って、自分で注文したパンケーキじゃない」 「そういうことじゃない。何だこのフワッとしたパンケーキ! 何だこのきめ細かいホイップ! 実物がメニューの写真を軽々超えてくるなんて、信じられない!」 「大げさだなぁ。でも、ここをオススメした理由、分かるでしょ?」  その頃公園では――。 「ちょっと、離れてよ」 「嫌アル。雷で攻撃したらいいネ」  サンドラの腰に背後からムギュッと抱きついたシャオランは、呼吸を整えながら言った。ここまで得意の太極拳で応戦してきたが、雷を回避しつつ――時に感電しつつ――の戦いは、体力の消耗が激しい。そこで、ひらめいた。  くっついていれば、相手も感電に巻き込める。サンドラもノーダメージで済む訳ではないようだし、痛いのを我慢して耐久勝負に持ち込めばいい。それに。 「リーリー、今がチャンスアル!」  シャオランの呼びかけに、相棒のパンダが鼻息を鳴らす。抑え込んでいる内にと、リーリーが突進を始めた。手を叩くサンドラ。雷を避けるリーリー。  その時だった。  バン!  前触れのない青い稲妻が、リーリーの体に直撃した。 「当たったわ!」 「リーリー!」  頭の中が真っ白になった。シャオランは急いで愛する相棒の下に駆け寄る。 「今のはフューチャーライトニング。少しやんちゃだけど、数分先の未来に落とせる雷ちゃんよ」  得意げなサンドラの声が耳を素通りする。手のひらサイズの小さな体に戻ったリーリーは、ぐったりしていた。背中の白い毛は一部焼け焦げている。小刻みに震える温かい後ろ足に、シャオランはそっと手を添えた。  ポンッ、と口寄せした相棒の姿が消えると、シャオランは立ち上がった。ゆらり、と振り向く。目には涙がにじんでいた。 「……絶対許さない。地獄に送ってやる」  今までの彼女とは似ても似つかない、腹の底からの低く抑えた声が、周囲の空気を凍てつかせた。  
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