0人が本棚に入れています
本棚に追加
月の要
「月の要が崩壊しただと?」
所長がまたか、という顔をする。
年末から挙動の怪しかった月を観測していたチームは、今朝になってついに緊急レベルをマックスまで引き上げた。
「崩壊」と呼ばれるその現象は、起きてしまえばどうすることも出来ない。
自然回復を待つこともあれば、専門チームが派遣され誤魔化しの延命をすることもある。
今回はどうやら自然回復を選択したようだ。
しかしそうなるといつ回復するのかが問題になる。
我々は「月」の恩恵がなければインフラの維持が出来ない。
なんなら日々の食事、掃除洗濯などと言った家事さえままならぬのだ。
数日なら代替ツールで持つが、それにも限界はあるし何より膨大な費用もかかる。
所長は周囲の人間に聞こえるほど大きなため息をこぼした。
※腰痛が酷くて家事も座るも出来ない
最初のコメントを投稿しよう!