月の要

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月の要

「月の要が崩壊しただと?」 所長がまたか、という顔をする。 年末から挙動の怪しかった月を観測していたチームは、今朝になってついに緊急レベルをマックスまで引き上げた。 「崩壊」と呼ばれるその現象は、起きてしまえばどうすることも出来ない。 自然回復を待つこともあれば、専門チームが派遣され誤魔化しの延命をすることもある。 今回はどうやら自然回復を選択したようだ。 しかしそうなるといつ回復するのかが問題になる。 我々は「月」の恩恵がなければインフラの維持が出来ない。 なんなら日々の食事、掃除洗濯などと言った家事さえままならぬのだ。 数日なら代替ツールで持つが、それにも限界はあるし何より膨大な費用もかかる。 所長は周囲の人間に聞こえるほど大きなため息をこぼした。 ※腰痛が酷くて家事も座るも出来ない
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