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「あの…お母さん…私の名前は…石と言います。
隣で眠っている弟は草という名前です。
きっと…前世では土砂崩れに巻き込まれて死んだんだと思います。
気づいたらここにいたんです」
私がそう正直に話すと母は私たちが横になっているベッドの柵に勢いよく手をかけた。
「え?!それってどういうこと?!」
「多分ですが…私たちは異世界転生 というものをしたのだと思います…」
異世界転生…観光客が捨てていた雑誌の中にあった漫画の世界。
まさか本当に…自分たちがそうなるとは。
もしかして神様の仕業なの?
「…うーん…こういう設定ってことないわよね。
もしアルグの言うことが本当だったら…
あああ、もう!ベロニカに相談したいけど 彼、今授業中だろうし」
お母さんはベッドの柵から手を離し、靴をカツカツと鳴らしながら歩き回る。
「そうね…今私にできることはあなたたちから情報を聞き出すこと。
これって運営に報告したら…あなたたちは消去されるかもしれない。
うう…せっかく一人10万円かけて作ったNPC子供なのにもったいないし、運営に報告はなしね。
とりあえず、石…いいえ。 あなたの名前はアルグよ。双子の弟の名前はクロス。
いい?あなたたちの名前はアルグとクロス なんだから」
「…分かりました。 素敵な名前を与えてくださってありがとうございます」
私の名前は今から石ではない。アルグという とっても素敵な名前なんだ。
「うんうん。
あ、そうそう。私たち一応 親子なんだから、そんな敬語使わないで。普通に親子っぽい、気軽に話しかけて欲しいな」
「気軽…あの…前のお母さんの前では…きちんとした言葉で話さないと…木の棒で殴られました」
「何ですって?!」
また お母さんは僕たちのところに戻ってきて ベッドの柵をつかむ。
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