第2話「急成長した体と母の質問」

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「どうしたの?お兄ちゃん」 「クロス、画面にタッチはできないけれども、相手に触ればステータスが見れるよ」 「本当?!」 「うん。やってみて」 クロスは恐る恐る手を伸ばしお母さんに触れようとして手を止める。 「あっ、見えた。 完全に触れなくても見れるみたい。 でもお母さんの力、9999じゃないみたい。 えっと…にー、さん、ご、ぜろぜろぜろぜろって書いてある」 「あら?それってゲーム値の最高値じゃない? 初耳だわ。9999以上は表示されないってことね」 そういえば いつの間にか お母さんの服装が変わっていた。 着替えてるところなんて見えなかったけど。 「ってことは…ここは本当にゲームの世界? 異世界じゃなくてゲームの世界なの?」 現実世界にはいないような動くぬいぐるみに漫画に出てくるような不思議な形の道具。 「ここはジャパンゲーマーズがリリースした2225年オープンのフルダイブ型VRMMO、オッド・フロンティアのゲームの中ですよ」 メロンちゃんの言葉に私とクロスは顔を見合わせる。 「2225年?!2024年じゃなくて?!」 「今は西暦2228年よ。 異世界転生って言うけど…あなたたちはつまり、過去から未来のゲームの中に転生したということよね?」 お母さんの問いかけに私は頷く。 「それしか…ないと思う。 人は死んだら天国か地獄に行くものだと産んだお母さんが言っていた。 私たちはいらない子だから地獄行きだって言われてたけど…神様は優しい新しいお母さんに会わせてくれた。 …なら、私はこの世界で一生懸命生きたい。 幸せに… なりたい」 今度こそ、人間として…恵まれた人たちのように幸せに生きたい。 「クロスも頑張って生きるよ! お母さん。僕たちに何でも言って! 僕たち頑張るから!」 「そう?頑張ってくれるのはいいけど、無理をしちゃだめよ? …ん?ベロニカがログインしたみたいね」
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