第3話「父ベロニカ」

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イベントリ…確か漫画にも出ていた。 見えない袋の中にいっぱい物が詰められる場所。 取り出したいものを思い浮かべるだけで出てくるものだ。 「ベロニカはアルグを抱っこして。 私はクロスを抱っこして食べさせてあげるわ」 お母さんがそう言うとお父さんが私を抱えて椅子に座り、クロスはお母さんが抱っこして椅子に座る。 「それじゃあ、食べましょう。 いただきます」 お父さんとお母さんがお肉を切り分けてフォークで刺したお肉を私たちの口に運んでくれる。 ぱくり… 「んー!おいひい!!」 お口いっぱいに広がるお肉から出る美味しい汁! お肉もとっても美味しくて、噛めば噛むほど味が口いっぱいに広がって幸せ!! ごくん… 飲み込むと喉や食道が喜んでいるような不思議な感じがした。 「いっぱい食べてね」 「うん!」 お父さんとお母さんはどんどんお肉を切り分けて、私達の口へ運んでくれる。 人生の中で一番食べたと思う。 お腹に幸せが広がって、いっぱいになった。 「もうお腹いっぱいです。 とっても美味しかった!ありがとう!」 「ありがとう、お母さん、お父さん!」 私達がお礼を言うと、お父さんとお母さんはニコニコしながら私たちのお口の周りを拭いてくれて、頭を撫でてくれた。 「ごちそうさまだね、二人とも。 喜んでくれて私達も嬉しいよ」 「それじゃあ、私とベロニカもご飯にしましょうか」 そういうと、お母さんはイベントリから赤い液体が入った透明のグラスを取り出した。 お父さんは私達が食べ残したお肉を食べ始める。
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