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お父さんとお母さんの膝の上で私達は二人の様子を見ていたけど、お母さんは赤い液体を飲むだけでお肉は食べない。
「はー、ごちそうさま。美味しかった」
「私もごちそうさま。
やっぱり新鮮な血は美味しいわねぇ」
「血?!」
「お母さんの飲んでいた赤い液体って血なの?!」
私達が驚いてると、お母さんはフフフと笑って
「私はヴァンパイアなの。
わかるかしら?吸血鬼っていう、人間の血を吸ったり飲んだりする種族なのよ」
と笑顔で言った。
「コウモリみたい…」
島でも吸血コウモリがいた。
動物や人間に噛み付いて、傷口から血をペロペロと飲むコウモリ。
「そうだな、コウモリに近いかもな。
アルグとクロスもヴァンパイアの血を引いているんだぞ?
私が人間、グロリーがヴァンパイアだからな」
「え?!そうなの?!」
耳が長い人間…だと思ってた。
「だからアルグとクロスは血を飲んでも生きられるわ。
このオッド・フロンティアではハーフヴァンパイアのことをヴァンヒュームとかヴァンヒューメルというの。
ヒューマン…人間とヴァンパイアの間に生まれた子はそういう名前の種族なのよ」
理解が追いつかないけど
「僕は血よりお肉の方がいい」
「私も。ご飯が食べたい」
前世で食べられなかった分、この世界ならおいしいものをいっぱい食べれるかもしれない。
「私達、何でもします!
ちゃんと働きますから美味しいご飯をください!」
「お願いします!」
私とクロスが一生懸命お願いすると
「お願いされなくてもちゃんと二人には毎日美味しいご飯を食べさせてあげるよ。
私と愛しいグロリオーサの子供だからね」
と、お父さんは優しい笑顔で言ってくれた。
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