第4話「朝ごはん」

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私とクロスは自分で椅子に座り、お母さんが出してくれる朝ごはんを食べる。 「これとっても美味しい!」 パンの上に丸いお肉と黄色いトロトロが乗っている。 トロトロはビヨーンと伸びて美味しい! 緑の丸い細いのは苦いけど頑張って食べる。 「お母さん、これなーに?」 「ピザトーストっていうのよ。 昔の人間たちはこういうものを朝食べていたみたい」 昔の人間? 「色々話さなきゃいけないことがあるわね。 でも、何から話しましょう… 何から聞きたい?」 「さっきのシュヴァルなんとかについて教えて。 シュヴァルなんとかがあると学校に行けないの?」 学校にとても憧れていたから、学校に行けないっていうのはちょっと悲しかった。 「シュヴァルポイントってのはね…まあ、簡単に言うと悪いことをするとたまるポイントなの。 私もベロニカもたくさんPKしてきたから、すごくシュヴァルポイントが高いのよ」 「悪いこと?! お母さん、悪者なの?」 クロスが驚いたようにテーブルにピザトーストを落としてしまう。 「現実世界では悪いことは何もしてないけれども、このゲームの中でたくさん人を殺しちゃったからね。 もちろん、現実世界の人は殺したことはないわ。 ゲームの中で人を殺しても、現実の人は死なないから大丈夫よ」 「よかった。お母さん優しいから悪い人には見えなかったもん。 ねえ、ゲームの世界って本当なの?」 クロスがピザトーストを拾って食べながらお母さんに聞く。 「本当なのよ。 …もしかしてクロスは元の世界に帰りたい?」 「帰りたくない! あんな嫌な世界消えちゃえばいいんだ!」 「クロス…」 クロスは元の世界ではまだ5歳だった。 それでもたくさんたくさん嫌な思いをしてきたんだ。
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