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中島の朝
それからの僕は、もう何も手につかなかった。
今朝の出来事で頭がいっぱいになっていたのだ。
まず気になったのなぜ彼は、スマホとリモコンを取り違えてしまったのか。
それが気になり、もう授業どころではないのだ。
いろいろと考える点が出てくる。
さっそく僕は気づいた事を整理、考察する事にした。
まずどうだろう。
朝、寝覚めの際スマートフォンはどこにあるだろう。
生活様式は各家庭さまざまな訳で当然家の間取りもそれぞれ違う。
「とりあえず、自分の生活様式をベースにするしかないか…。」とひとりごちる。
朝スマートフォンは、きっと枕元ないしベッドの手の届く位置に置いてあるだろう。そしてそれは、充電ケーブルに繋がっていると想定出来る。
大抵、就寝のタイミングで充電するだろうし、きっと僕と一緒で眠りに付くまでスマートフォンをイジっているだろう。
僕の感覚での平日の【朝】とは、ルーティンのそのものだ。時間に追われる中、自然と効率的に決まった流れで決まった行動を取っている気がする。
いわば自動運転の様に無意識に行動しているので、いつもだいたい決まった時間に家を出れている。
はずだ。
中島もきっと大差は無いだろう。
なら、どうして中島は遅刻してきたのか。そしてなぜスマートフォンとリモコンを取り違えたのか。
それは、きっと朝のルーティンが崩れたからに他ないだろう。
「可能性が高いのは、やはり寝坊か……。」
そして、朝スマートフォンを充電ケーブルから抜いたかどうかは………。
よし。中島は寝坊したと仮定しよう。そして僕は中島の朝を想像する。
彼は朝目覚め、時計を見て焦ったはずだ。
おそらく、時間の確認はスマートフォンで行ったんじゃないだろうか。
このご時世、自室に時計を置く必要性は薄くなっているし、スマートフォンがあれば事足りる。
実際、僕の部屋にも掛け時計は設置されていない。
中島は、朝の起きてスマートフォンで時間を確認した。そして、自分が寝坊した事に気付いた。
慌てた中島は、きっと手に持ったスマートフォンを手放す事はしないだろう。
恐らくそのまま、充電ケーブルを引き抜いたと想定出来る。
次は何をするだろう。
僕なら……………「トイレ。」
ザワッ。思わず口に出してしまいクラスメイトから注目を浴びてしまった。先生から「なんだ、トイレに行きたいのか?」と聞かれてしまったので「何でもないです………。」と縮こまるしかなかった。
跳ねた心臓を落ち着かせるため思考を再開する
集中。集中。
そう。中島はスマートフォンを片手に用を済ませる。
その後どうする?
僕だったら家族に。父か母に「なぜ起こしてくれなかったんだ。」と一言文句を言いにリビングに行くだろう。
中島はリビングに向かった。
そして、起こしてくれなかった親に文句を言って口論になり・・・・、いや……違うな。
きっと親が居たら遅刻する時間まで寝かせて置くとは考えにくい。
僕の家なら無理やりにでも布団を引っ剥がしてくるだろうし………。
ならどうして?
中島の親はその時間、家に居なかった。
それが日常的なのかイレギュラーな事態なのかは分からないが今日に限っては親が不在だった可能性が高い。
恐らく後者だと推測出来る。
中島は普段から遅刻しているイメージが無い。
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