仮説

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あと少し。 まだ、紐解かなければならないところが残っている。 これは、紐解いては……。開けてならないパンドラの箱なのかもしれないが許容出来ない。 だから、ここまで来たら最後までいかなければ本当の意味で納得出来ない。 クラスメイトの大爆笑をかっ攫ったあの。 僕に面白指数70を出させたあの一声だ。 【やっちまったー。スマホと間違えて、テレビのリモコン持って来ちまったよー。】のあの一言。 そう。 あの一言の真意について考察しなければ、納得出来ようハズが無いのだ。 ラストスパートに向けて僕は集中を高めた。 「だ……まだ…………やまだ。おい山田!」 ガタッ。「は、はいっ!」僕は咄嗟に立ち上がってしまった。 「山田、お前さっきからずっとボーとして授業を聞いているのか。」 数学教師の南川(みなみかわ)だ。 「ちょっと前に出てこの問題をやってみろ。」 くっ。今いいところなのに邪魔しやがって………。 まぁ、良い。すぐに解いて再開だ。 「ういっ。」 僕は足早に黒板へ向うとチョークを手に取る。 カッカッカッカ。チョークを走らせる。 問題を解くと同時に、並列して思考を再開させていた。 僕が気になっているのは、中島が家を出てから学校に着く間の行動だ。 たしか、中島は同級の鈴木と同じ中学校だったと記憶している。 そして僕は、鈴木とは昔遊んだ事がある。隣町から電車で通学していて、学校近くの駅から3、4駅は離れている。 カッカッカッ。 カッ。 黒板に数式と問題の答えを書き終えると颯爽と自分の席に向う。 数学教師の南川は、しばしポカンと口を開けていたが一言、「全然違う………。」と呟く。 すぐに「他、分かるやつは居ないかー?」と周囲に回答者を募る。 数名が手を上げた。 「じゃあ、中島。」 そう、中島は隣町からこの小鳩高校に通っている。 つまり、移動手段は電車を使っていると考えられる。 自転車・・・・の線も考えられるが恐らくそれは無い。今までに何度も登校と下校をする姿を見かけた事があるが、中島が自転車に跨ってるところは見た事が無い。 十中八九、電車を使って学校近くの駅に来たと考えられる。 ここからが、本題だ。 電車を使ったとしたら、一つ()せない事ががある。 それは。
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