「どきどきの始まり」

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「どきどきの始まり」

私は現在、アパレルショップの店員をしている。地元を離れ、転職し、接客業という好きな職について三年が経とうとしていた。 「そういや、あおいさんって彼氏いるんですかね」 ようやく休憩に入れそうだ、と休憩室に入ろうとした時、休憩室からなにやら同じショップ店員後輩二人の話し声が聞こえる。 私の悪口か?と思い、思わずドアノブにかけてた手を離す。 「いや、いないらしいですよ」 「そうなんだ〜いそうなのにねぇ。仕事ばっかしてるからやっぱ出会いないのかなぁ」 なにやら、悪口ではないらしいことにホッとする。 しかし、彼氏がいないことがなんだってのだ。 「28才だし、結婚とか考えてるのかなぁと思ってたから、いなくなったら店回すの私じゃーん」 「あおいさんにはいい人見つかって欲しいけど、それは困るかも!」 そっか。私がいないと困るなんて、やはり可愛い後輩だな、とふっと思いつつ、【彼氏】のワードがさっきから頭を離れない。 実は今まで、【彼氏】がこの年までいたことがない。 年齢=彼氏いない歴 と言うことだ。 後輩には言えなかった。 恋愛なんて今までしてこなかった。
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