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うわ言のようにぶつぶつとハイドが呟いている。
「至らぬ点があったのならば、折檻を施していただけないでしょうか……?」
「僕は、何をすればよろしいでしょうか? どうすれば貴方を喜ばせることができるのでしょうか? もっともっと吐精を耐えてみせるのが正しかったのでしょうか……?」
「こんな僕をどうかお許しください。愛してください……」
ハイドは己を扱いては強く握り耐えて、扱いては耐えてを繰り返しているようだ。自分自身に課した終わりのない拷問に涙を流し泣きながら懇願するハイドの姿が美しくペオニアは思わず見とれてしまったが直ぐに我に返る。
「許しておくれ……私はお前を傷つけたくなかっただけなんだ……」
眠っている。ハイドに伝わっているかは分からない。それでもペオニアはハイドに伝えておきたかったのだ。ハイドはその言葉に反応するかのように手を動かすのをやめた。そして大粒の涙を流し始めたのだ。
「ぅ……うぁあ……」
嗚咽をあげるハイドの体を抱えあげ、ペオニアはその晩自らの腕の中で眠らせた。
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