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国民の祝福
半月が立ち王宮での暮らしに慣れた頃、ハイドとペオニアのお披露目パーティーの準備で王宮の人々はせわしなく過ごしていた。しかし当事者であるハイドはやることがなく暇を持て余していた。
「あの……お忙しい所すみません。ジョイアさん。何か手伝えることはありませんか?」
「いいえ、ハイド様はここで待っていてください。パーティーは国王陛下と王妃様主催の大切なお祝い事ですよ? お客様の対応は全て私達が行います」
そう淡々と告げられる言葉にやはり暇を持て余すばかりだった。主であるペオニアの優しい配慮で客人をもてなす必要が無くなっているのであるから贅沢な悩みだと分かってはいるものの、どうしても何かをしていないと落ち着かなかったのである。しかし何もすることがない状態というのはあまりにも退屈すぎたのでこっそり部屋を抜け出しては中庭の芝の上で寝転がって暇を潰すことにした。
「……」
心地よい風と暖かな日差しに眠気が襲ってくる。ふわりと欠伸をして草の上に横になるとハイドはすっと眠りについた。
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