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どのくらい時間が経っただろう、ふと意識を取り戻すと自身の体はすっぽりと覆い隠されてしまっているのではないかと思う程近くに影ができていたのだ。そろそろ自室へ戻るか……。王宮勤めとして最低限の立ち振る舞いや学を身につける必要がある。きっと寝床でいくら口淫などが上手くなってペオニア様を快感に導くことができるようになったとしても、それだけでは楽しませることなんて出来ないのだ。もっともっと自分にできることがあれば……。草の上から立ち上がろうと視線を上げると凛としたただ住まいのペオニアが少年のような笑みを浮かべてこちらを覗いていた。
「いよいよ明日だな。大きな声援を浴びるのは楽しみか?」
「もちろん嬉しい気持ちもあります。ただ緊張や不安の方が勝っているかもしれません」
ハイドは長いまつげをふせ、陰りのある表情をみせた。ペオニアはハイドが自分に見られぬようにと顔をそらしたことを感じあまりじっと見つめないようにと顔を上げた。
「……不安というのは? もし嫌でなければ、聞かせてくれないか?」
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