国民の祝福

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 ペオニアはなんとなく、ハイドが己の感情を外へ出したがらない性格であることを感じていた。ここで不必要に聞いてしまえばハイドの信頼を損なってしまうかもしれないと気づいていた。それでも彼の苦しみを除くため吐き出せるものは吐き出して欲しい。その身を捧げてまで守ろうとするこの国が彼の思うような素晴らしい国であってほしい。土地も、国民も、ハイド自身も清く穏やかでいてほしいのだ。しばらくの沈黙の後、ハイドは口を開き始めた。 「星の子が複数出なかった年は初めてですよね? 僕が相応しい人間かどうか国民が見ているんです。間違ったことをしてしまったらと思うと怖くて……」  確かに今までは星の子が複数いたので相性や意欲で選別することができ、つまりやりたくなければやらないことが可能であった。しかしハイドには逃げ場がないのである。それを抜きにしてもあんなに多くの人々の視線を浴びることなど今までなかったに違いない。 「俺がついているんだ大丈夫だ。お前を無下に扱う者などこの国にはいないさ」 「僕……お相手がペオニア様で良かったと思っています」  *****
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