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「……照れる姿はまだまだ可愛らしいな」
「からかわないで下さい……」
「さぁ。行こう」
そう言って差し出されたペオニアの手をハイドはおずおずと握り返した。その体はほんのりと熱を帯びているようだった。まるで今この場に居る事が夢のようで、ふわふわと浮ついた気持ちが押し寄せてきた。二人が席につきお辞儀をすると割れんばかりの拍手が鳴った。ハイドはペオニアを見つめ呼吸を整える。
「はじめまして皆さんペオニア様の星の子となりました、ハイドと申します。皆様が穏やかに暮らせるよう、精一杯努力致します」
ハイドは深々と頭を下げた。民衆はハイドの言葉に拍手を送った。ペオニアはその国民達の様子に少し嬉しそうに笑みを見せた。ハイドの物腰の良さや整った顔立ちに心掴まれた者も多くいたのだろう。もちろんその中には子供の姿も見受けられるがハイドの存在を強く支持していることが良く分かる。その後、パーティー料理を堪能した人々が次々とペオニアの元へ挨拶にやってきた。彼等の多くは笑顔で会話しながらも、自然とこの国の王子であり星の子であるハイドにも話しかけるのだ。しかし、ハイドは話しかけてもらうことに慣れておらず、人と会話している最中も何処か不安そうな顔になり下唇を噛み締めるだけだった。
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