望む折檻と甘い蜜*

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望む折檻と甘い蜜*

 そして夜会がようやく終わった頃だった。二人はペオニアの自室へ戻り一息つく。 「すまないな……」  ペオニアは自身の無策さに少し反省した様子でそう言った。ハイドはきょとんとして首を傾げると、クスッと笑った。その姿は愛くるしく庇護欲を刺激するものだった。 「えっと……。ペオニア様はとても立派でした。国民が貴方について行きたいと強く支持をしているのも頷けます。僕はそんな貴方の星の子なのに……上手く振舞うことができませんでした」  ハイドの瞳が少し潤んだ。唇を噛み前を向いてペオニアを見つめながら跪く。 「現国王付きの星の子には調教師がついていると聞きました。このような失態を二度とせぬように……」  ハイドは喉を詰まらせながら、懸命に言葉を紡ぐ。ペオニアはハイドの言葉を遮った。 「君は充分上手くやっていたよ。それに、マナーや振る舞いも学んだことをしっかりと活かせていた。挨拶も立派だった。俺は君の事を誇りに思う」 「でも……」  ハイドは俯き言葉を詰まらせる。そんなハイドにペオニアは近づき耳元で優しく囁いた。それは先程までのような溌剌とした声ではなく、情欲を掻き立てるような妖艶なものだった。 「君を叱るつもりなどないが、私の前でそんな悲しい顔をするのならお仕置きが必要だね」 そう言いながら耳元に軽いキスを送り、手を退かすように命じた。そして手袋を外すと丁寧に親指を折り曲げ自らの舌で指先から舐め回し指の間へと愛撫するのであった。ペオニアの舌が生み出す摩擦がハイドの身体に熱く染み渡る。 「ペオニア様……はぅ……だ、だめです……」
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