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その言葉にハイドは言葉を発した主を確認しようと顔を上げる。煌めく黄金色の髪と目力のあるルビーのような紅い瞳を持った男の姿の男は如何にも気品高い風格を漂わせており、その姿に恐怖する他無かった。王族である以上、厳格な父や厳格な教師によってマナーが叩きこまれるだろう。ただ住まいが一般人のそれとは違う事も頷ける。ハイドはその姿を見て緊張からなのか言葉を上手く発することが出来ずにいた。
「自己紹介は不要だ」
その言葉に身体が硬直する。他人の自己紹介を聞くことは煩わしいとでも言うように視線を逸らす男の姿は冷徹なものだった。ハイドは即座に頭を下げた。王族に対して不敬があってはならないと感じたからだ。その様子を見かねた側近の一人である白髪の男は「ペオニア様」と声をかけた。
「側近になる男ですよ、何か言って差し上げないと、ね?」
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