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そう言い聞かせるとペオニアは視線をハイドの方へ戻す。
「わかった」
そう短く言葉を述べるとその口元は少し緩んでいたように感じた。しかし、その後ハイドへ視線を再び向けることなく席を立つ。
__もう少しお話がしたかったが仕方ない……。
重厚なドアの戸を開く直前、ペオニアの口が小さく動いた。
「……今夜、部屋へ来い」
「はい。承知いたしました」
「ジョイア。それまで、王宮の施設を案内してやれ」
「はい」
白髪の男は深く頭を下げ、主が部屋を出るのを見送った。
ペオニアが扉の外へ出たのを確認した後、側近の一人ジョイアはハイドの方を向いた。
「では、まずは王宮内の施設をご案内致します」
そう言って長い廊下を歩んだ。道中は天井にぶら下がるシャンデリアと左右に等間隔で置かれた小さな花瓶に入った色とりどりの花々に目を奪われる。置かれる調度品や絵画も王宮に相応しく風格があるものばかりだ。すると廊下に飾られている絵画が目に入った。大きなホールの中に豪奢な衣服を見に纏う二人の男が描かれた絵画だ。ハイドは何故かその絵画に釘付けになった。
「この神話のように……事が運べばいいのですが……」
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