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信頼を得るということ*
「俺は信頼が出来ない人は自室には入れない主義なんだ。お前がそれに値するか確認をする必要がある」
「大変失礼いたしました。確認……とはなんでしょうか?」
「飲め」
そう冷たい瞳を向けられ、渡された小瓶は深紅色の液体で満たされていた。瓶の形状が香水入れによく似ていて、飲むととろりとした舌ざわりで甘さが口に広がる。
「絶対に〝前〟を触るなよ」
この王子は僕にどんな時も女人のように振る舞って欲しいということなのだろうか……?
それで信頼が得られるのであれば……それでこの国を守れるのであればそうすべきだろう。
「はい。かしこまりました」
「衣を脱いで湯船につかりなさい」
そうペオニアに連れられた場所は日の光が差し込み、乳白色の大理石が輝く風呂場だった。浴槽も同じく乳白色で宝石のように煌めきを放っていた。ただハイドは衣を脱ぐことには抵抗があった。
「あの……湯あみはもう済んでおります」
「俺に従えないと……そういうこか?」
「いえ、ただ……その……」
正直、ハイドは己の中心に熱が集まって無様にそり立っている姿を見られたくなかった。湯船に張られた湯の色が先ほどの小瓶の中の物と同じ色をしているのを見て、粗相をしてしまうのではないかと不安も相まり唇を噛み頬を赤く染め硬直するほかなかった。
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