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それからの私たちは冷戦状態。
…というか、腫れ物でも触るように私の顔色を伺う響平さんと、むうっと怒った顔の私。
おはようには、おはようが。
ただいまにはお帰りが返ってくるだけの日々を過ごした。
家に帰るのが遅いときは知らせるというルールは健在だったけど、響平さんからのメッセージなんて…あてにしていない。
なのにいちいち「今から帰るよハニー」とか「もうすぐ着くよマイエンジェル」とか、今までにないメッセージを送ってくるようになった。
その度に笑っちゃいそうになるんだけど、簡単には許さないんだから!
食事は用意しなくていい…とは言われていたけど、今日は久しぶりに凝ったものでも作っちゃおうかな…と思いつく。
料理をしてると集中して考え事ができて、頭がスッキリすることが多い。
最寄り駅の大型スーパーに立ち寄って、新鮮な食材を見ながらメニューを考えた。
…作っておけば、食べるかな。
今日も新人達を引き連れてご飯に行くかもしれないけど、そうじゃなかったら食べるかも。
帰りがけ覗いてみたら、いつものように響平さんの周りには皆が集まっていて、屈託のない笑顔を見せていたっけ。
顔ぶれは女子だけじゃなく、男子も多かった。
響平さんは基本兄貴体質というか、面倒見がいいから後輩や部下に好かれるんだよね。
人との距離…女性との距離の取り方は壊滅的に下手くそかもしれないけど、3年前に比べて下心感は消えてる…。
あの頃は今よりもっと色気のある感じで、今はそんなアクが抜けたというのが、付き合ってみてわかった。
響平さん、昔は女たらしだったけど、今は栞たらし。
こんなに私を悩ませて心乱して、何が面白いんだろ?
何か隠してることがあるなら教えてほしい。
教えてくれない理由はなに?
「…もしかして、栞ちゃんじゃない?」
野菜売場で無意識にナスを1本手にとって、じっと見ながら考え事をしていたらしい。
声をかけられてとっさに顔を上げると…
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