エピソード2.

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約束だから行くけども。 2人で会うのは正直気が重い。 でもハッキリ言うことは必要かもしれない。 そうだ。言いたいことだけ言ってビール一杯飲んで焼き鳥食べて…30分で帰ろう。 そう決めて約束の時間より早く焼き鳥『はまじ』に着くと、カウンターの一番奥にパッと目を引くイケメンがいた。 はや…。もう来てる。 嫌味なまでに放たれるイケメンオーラ…。 速水さんはご機嫌だった。 「たしか酒はけっこう強かったよな。…焼き鳥も好きだったろ?」 3年前連れて行ってもらった地鶏の焼き鳥屋さんを思い出した。 カウンター席だけの小さなお店だったけど、すごくジューシーで美味しい焼き鳥だったことを思い出す。 …てか、なんか近くない…!? 腕が触れそうな近さが気になって、椅子をずらして離れようとした。 でも椅子が重いのか、なかなか動かない。 「なんだよ。もっとそばに来たいのか?」 可愛いな…と言って、ビクともしなかった椅子ごと引き寄せられて、ひゃあ…!っと変な声が出て笑われる。 「…私が言いたいのは1つだけです! …3年前のことは、言いふらさないでください」 「…それは渡されたメモにも書いてあったからわかったよ。でもなんでそんなことをわざわざ言うんだ?」 「それは…彼に、恋人に知られたくないからです」 ここまで話して、速水はようやく笑うのをやめた。 「…ということは、お前の彼氏ってうちの会社の奴か?」 …隠しても仕方ない。 そう思ってハッキリ言った。 「品川…陸さんです」 目線だけを右に移して「あぁ、品川か…」と呟く。 「…営業部の部下…ですよね。だからあの、変なこと言ってほしくないんです。別に速水さんとの間に何があったわけでもないですけど…彼に誤解されたくないから…」 「ふぅん。3年前、俺の部屋でキスしたことは、2人だけの秘密ってことか」 …やだ。覚えてるんだ… 「…和美さんにのしかかられて、首を絞められたこと、私も誰にも言いませんから」 そう言った私に、意外そうな目を向けてニヤっと笑った。 「秘密の関係とは…そそられるな…」 と言って速水さんは豪快に焼き鳥を食べ始めた。 …
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