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「…お前どういう場所に部屋借りてるんだよ。
今まで残業した日はどうやって帰ってたわけ?」
駅から徒歩20分。
墓地をぐるりと回る近道は確かに不気味で、速水さんは壁の向こうのお墓を見て飛び退いた。
…心霊とか幽霊とか苦手みたいだ…!
弱点1個ゲット。
「遠回りすれば人通りあるし、問題なしです」
やっとアパートが見えてきて
「ありがとうございました。ここで大丈夫です」
と言うと、遠目ににも関わらず、速水さんが驚いた声をあげる。
「お前…ここに住んでるのか?」
私の住むアパートは、確かに築年数が相当古い。引く気持ちもわかるけど、そんな驚いた顔しなくてもいいじゃん。
「そ…そのうち引っ越しますよ。多分陸と結婚するし」
「…にしても、これはひどいだろ?品川は何にも言わねぇの?」
話しながら入り口近くまで一緒に来てしまった。
「…102号室。しかも1階…」
「防犯上危ないのはわかってますよ。でも2階より家賃が500円安いんです!」
ほらほら帰った帰った…と言って、追い払うように手をヒラヒラさせたその時…
「あ…あぁぁぉん…!」
どこからともなく、アノ最中の声が聞こえてきた。
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