エピソード3.

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「…へ?」 「今、陸と浮気してる相手です。 妹と言っても血の繋がってない妹で。うち、両親離婚してて。母の再婚相手の連れ子なんです。 だから姉妹と言っても他人で…」 妹の理羅はまだ20歳の大学生。 甘え上手で私の部屋にもちょくちょく遊びに来ていたが、私とはタイプが違って仲良しとは言えなかった。 それでも「妹」という存在が嬉しくて、陸に紹介したのが先月の話。 私の部屋で、3人で飲んだこともあったけど、まさか2人がそんな関係になるとは思いもよらなかった。 今日は多分、私の部屋に来ていた陸と理羅が偶然鉢合わせて、そんな雰囲気になったのかもしれない。 …だとしても、どうして私の部屋で始めるのかね…。 「…そうなのか。連れ子同士とはいっても家族なわけだろ?…なかなかヘビーだな」 会社の人に、自分の生い立ちを話すのは初めてだった。 ううん。もしかしたら、人に話したのは初めてかもしれない。 はぁ…と、自嘲気味に笑うと、速水さんの方はいつになく真剣な顔で言う。 「…一発殴りに行かなくていいのかよ?」 「…殴り…に?」 「品川だよ。あいつお前の妹って知ってて手を出してるんだぞ?サイテーだと思わないのか?」 「お…思うけど…」 陸とは数日前に体を交えたばかり。 変な話、ちゃんと発散できたはずなのに妹を抱くなんて、もしかしたら私では満足できなかったのかな…。 そんな不安をよそに、速水さんは「だったら行くぞ」と言ってあっという間にお会計をして、私の腕をつかんだ。 「…あ、あの、今のお店の分は、私が払いますから…!」 「そんなのいいから!しっかり殴る準備だけしとけ」 うっふぅぅぅぅぅん… アパートに着くと、まだあえぎ声が聞こえる。 いったいいつまでもやる気…!?
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