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「君みたいな可愛い子に彼氏がいないなんて…奇跡だな」
「わ…私の方こそ、憧れてた速水さんのお部屋に来てるなんて、夢みたいです…!」
ふふっ…と優しく笑った彼の指が優しく頬を撫でて「愛してるよ…」と告げる。
彼の目に、一瞬で欲望の火が灯る。
その目にとらえられ、私は動けなくなった…。
「可愛い…おいで…」
端正な彼の顔に、見とれる暇もないほど性急に唇を塞がれた。
「…あぁ…だ、ダメです…」
「可愛い…もっとしたくなる…」
抱きしめる腕に力が入ると、半開きの唇に熱い舌が差し込まれ、ヌルリ愛撫された瞬間…
…バンッと、ドアが蹴破られるように開いた。
「…てめぇなにやってんだこらぁっ!ぶっ殺すぞっ!」
ガッチリした体格の女性が入ってきて、彼めがけてのっしのっしと歩いてくる。
とっさに彼に背中を押され、彼女の視界から逃れた私は、逆に女性をまじまじと見てしまった。
キスで…逮捕?
女性は警察の制服を着ていた。
女性警官はとりゃーっと勢いよく彼に馬乗りになった。
「…ぐえっ…!か、和美…」
すでに息も絶え絶えの彼に、容赦なく首を絞めるという…衝撃の地獄絵図…。
なんだこれ…
その時、彼の手が「出ていけ」と合図を送った。
…そうか。
私がいたら、余計話がこじれるのか。
靴を履く暇も惜しんで外へ出た。
それにしても…
キスって、逮捕されるほど悪いことなの?
…彼、速水響平を見たのは、この日が最後に
なった。
なのに3年の時を経て、また私の前に現れるとは…。
あの頃の優しく甘い雰囲気とは、ガラリと姿を変えて。
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