短夜長く

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 マジで? じゃあ何だったんです? もちろん僕の疑問と同様に涼の友達も疑問を投げかける。 「ペットボトルの蓋が開けられないってさ」 「あのな。涼。徹底的に誤解させようとするのやめろ」 「事実でしょ?」 「事実だけど、ちゃんと誤解のないように前後を説明してからにしよう? ほら、君の友達に僕は引かれちゃってる。ペットボトルの蓋すらも開けられないのかって」  視線が痛い。涼の友達よ、そんな目で僕を見ないでくれ。 「ま、そういうことだから。私たちの初デートを邪魔しないように今日は二人ともお願い。今度一緒に遊んであげるからさ」 「涼が遊んでくれる? 想像できない」 「でも、そうだね。私たちは邪魔かも」 「そういうことなら私たちはここら辺で。じゃあ、仲良くね」 「ごめんね。二人の時間を邪魔しちゃって」  そして、座っている席から立ち上がる。 「おい。待て。誤解を先に解いてくれ」  その訴えも虚しく、二人は足早にさっていってしまった。 「ふふ。面白い子達だよね」 「僕にとってはどこが面白いかさっぱり。涼の方がよっぽど大変だけど」 「ふーん。そうやって、私のこと好きだよアピールを暗にしてくるわけか」
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