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そんなこと言っていると、涼の演奏が止まった。ぶっ通しで約十分ほど。
「あー。疲れた。シンセ弾こ」
「電源繋がってないから、繋げてね」
「はーい」
涼は肩で息をしているようだ。
「そんなに体力が必要なの?」
「めっちゃ必要。だから、体力テストDには無理だよ」
「だから何で知ってんのさ?」
シンセサイザーを弾いている間に少し弦楽器を見て周る。今涼が弾いている曲には聞き覚えがあった。シンセサイザーってこんな音するんだっけ? あんまり聞いたことがないし、見たこともないから知らなかった。
「何か気になるものでも? やってみるといいかもよ。冬川さんが教えてくれるだろうし」
「涼なら確かに教えてくれるかもですし、魅力的ですけど……」
「高いよねー」
僕の心を読んだかのように言った。
「ま、気になったくらいでぱっと買えるようなものじゃないからさ。もう少し考えてみたら?」
「ギターかベースならば私が使わなくなったやつあるよ。シンセとピアノも弾きたかったら、家にある。貸そうか?」
やってみたい。とは思っていたので、返事には困らなかった。
「教えてくれるんなら」
「分かった」
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