短夜長く

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 売れちゃって、十五個? 多くない? 「そんなに使うの? 確か弦って六本くらいだよね?」 「そうだよ。物にもよるけど、四とか五とか六とか」 「え? じゃあ何で?」 「弦ってね、寿命二週間くらいなんだよ。だから、まとめ買いするのが普通」 「切れることもあるしね。だから冬川さんは毎回ありえない量買っていく」 「それでも私、数ヶ月に一回は買いに来てるよね」  そういう物なのか。初めて知った。バドミントンのラケットと同じような感じが。  涼はお金を払い、その弦を自分のバックに入れる。そして、楽器屋の出口の前に立った。それでもう店を出るというのが分かって、急いで追いかける。 「じゃあ、ありがとうございます」 「まいど。また来てね」  店の中は冷房が効いていて涼しかったが、外に出るとすぐに汗が滲んでくる。次は古本屋に行こうということになったので、そっちに向かう。自分もよく行っている古本屋だった。 「すっずし」 「さて、まず漫画から?」 「漫画からなんだ。僕は順番とか全く決めてないし、どっからでもいんだけど」
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