短夜長く

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 狂犬病、狂犬病……。ああ読んだな。 「そう。そういう王道系のやつ」 「あれは私も読んだ。映画も見た」 「いいな。映画は行けなかったんだよ。ひとりじゃちょっとって抵抗感があって」  あんまり見たいという友達がいなかった。何人かはいたのだが、全員都合が合わず。 「私は一人で行ったけどね」 「流石。そんな勇気僕にはないよ」 「でも、もう何か見たい映画あったらなんでも行けんじゃん。私いるし」 「確かに」  なんとも魅力的な提案。とても楽しみだ。 「恋愛系は嫌いなわけじゃないんでしょ?」 「嫌いではないよ。ただ読まないだけで」  何を読めばいいかわからないのと、迷っているくらいならファンタジー系を買った方が間違いはないと思ってしまうのが原因。 「じゃあ、今度貸してあげる。面白いのたくさんあるから」 「涼のおすすめなら間違いはないだろうよ」 「なんでそんなこと言い切れんの?」 「さあ」  さっきっから涼が手に取っている本は、自分も読もうかと思っていたり、面白そうだなと思っているものが多い。 「君は表紙で選ぶ人? それともタイトル? 冒頭?」 「タイトルと表紙がイコールで、冒頭がその次かな」
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