短夜長く

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 大抵気になったものは表紙も見てから、面白そうであれば冒頭を読んでみたりして買っている。出版社によっては、背表紙にも表紙の絵が載っているものがあるが、その出版社の本をよく買ってしまうのは、表紙の方を重視しているからなのかもしれない。 「ライトノベルは結構絵もこだわるかも」 「挿絵が下手だと読む気失せるもんね」 「そう」  見ていると、涼は本の裏のあらすじを見て、冒頭を見てから表紙とかを確認していることが多いように見える。僕も冒頭が先というよりかはあらすじをチラッと見てから、冒頭に行くことの方が多いかもしれない。 「目ぼしいものはなかったな。でも、君から漫画は借りることになったしいっか」 「僕も涼から何か借りるしいいや」  なんだかんだ言って古本屋と楽器屋だけでもう午後四時くらい。どっか図書館でも行ったらこれは閉店の時間まで余裕でいるような感じだろう。そもそも経験があるし。 「そろそろ帰ろうか。電車は……」  涼が携帯を取り出して確認する。 「二分」 「無理だな。次のにしよう」 「うそうそ。二十分くらい。そろそろ駅の方戻って少ししたらちょうどだよ」
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