たとえば、ポケットの中のゴミみたいに

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だって、友だちポジを維持したままで、待ち続ける方が得策だろ? なあに、彼女の気持ちが、俺に傾いてくれるまでの辛抱さ。 ……なんて、保身のための言い訳だけは、すらすら出てくんのかよ。 みっともねーよな、そういうとこ。 結局、俺はいつだって自分のことばかりで、どうしようもなくイタくて、卑怯で、不誠実だった。 最初から、ずーっと。 だけどせめて最後くらいは、誠実でありたいんだ。 「きっといるよ。古川のことが大好きで、谷口よりもっと大事にしてくれるヤツ」 古川の涙に濡れた瞳が、俺に向けられる。 「……たとえば、俺とかさ」 俺だけを、見つめてくれている。 谷口じゃなくて、この俺を。 「古川が好きだ。……高校の時からずっと」 ずっとずっと、こんな風に、俺だけを見て欲しかった。 「……そう、だったの?」 「……そうだよ」 「なのに私の話、たくさんたくさん、聞いてくれてたわけ?」 「……まあな」 「そんなの、優しすぎるよ……」 古川はうつむいて、黙りこんでしまった。 それは、今まで経験してきた中で、いちばん息苦しい沈黙だった。
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