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たとえば、ポケットの中のゴミみたいに
「部のみんなには、絶対秘密にしてね」
「もちろん。……友だちの秘密は絶対守るよ」
そう答えたあの日から、俺はずっと、どうしようもなくイタい横恋慕ヤローのまま。
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ポケットの中で、スマホが震えた。
手にとって見たら、高校時代の同級生からラインがきている。
『平山くん、今度一緒に焼肉行かない?』
古川のヤツめ。
さてはまた、俺にグチるつもりだな。
俺はお前専用の相談窓口じゃねえんだぞ。
なんて思いつつも、指は勝手に“OK”のスタンプを押していた。
……こんなみえみえの誘いにのるあたり、俺もたいがいだよな。
金曜日の夜、俺は駅の改札前で古川を待っていた。
改札に押し寄せる人波の中、古川の姿だけを、俺はいとも簡単に見つけだす。
改札を出て、俺を見つけた古川は、ニコッと屈託のない笑みを浮かべ、こちらに駆け寄ってきた。
「平山くん、お待たせ!」
「おう、待たされた」
「えっ、そんなに……?」
「なんてな、冗談だよ」
「ひどっ、一瞬本気にしたじゃん!」
そのふくれっ面が見たかった、なんて言ったら確実に引かれるから、俺はただヘラっと笑う。
「まあまあ、とりあえず店行こうぜ」
「なによそれーっ」
……あー、やっぱめちゃくちゃ可愛いな!
なんて不覚にも思ってしまうのは、たぶん、惚れた弱味ってヤツなんだろう。
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