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(……だって、わたくしはお父様に嫌われているんだもの)
なんだか気分が沈んでしまい、ケーキが半分乗った皿を置いた。
「俺はいい」
その言葉に大量に余ったケーキに視線を送る。
このケーキをすべて食べられたら幸せだろう。
さすがの満腹感にキャンディスはお腹を擦った。
(あと三個は食べたかったけど、もうお腹いっぱいだわ)
この時ばかりは子供の体が憎い。
(アルチュールにも食べさせてあげられたらいいのに……)
そんな思いからケーキを憂いを帯びた瞳で見つめていた。
僅かに見開かれたバイオレットの瞳。
その後にケーキを指さしているヴァロンタン。
給仕がケーキを皿に取り、音を立てないようにテーブルに置いた、
そして皿とフォークを手に取ったかと思いきや一口、口に運ぶ。
(た、食べたの……?なんでかしら)
先ほど、いらないと言っていたが気が変わったのだろうか。
何故かケーキを食べると「甘いな」と言って、紅茶のおかわりを要求をしている。
(もしかしてわたくしが一緒にケーキを食べたいと思ったから、とか?それで食べてくれたのかしら……ううん、そんなわけないわ)
キャンディスはもしそうならばと思ったものの、すぐに気のせいだと思い直す。
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