三章 愛されない悪の皇女

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こんなに優しくしてくれるはずはないと思いつつもキャンディスはニコリと笑みを浮かべた。 「と、とても美味しいですね!」 「……たまには悪くない」 怒られて処刑されるのかと早とちりしていたが、どうやらまだキャンディスの首は繋がったままでいられるようだ。 何故キャンディスを嫌っているはずなのに部屋に呼び出したりケーキを与えられたのか理由がまったくわからないが、生きて帰れたらそれでいい。 キャンディスが安心感からホッと息を吐き出したのも束の間、ヴァロンタンから昨日のことが問いかけられる。 「昨日は何故泣いた?」 「……ッ!」 キャンディスはまさかこのタイミングで問われるとは思わずに体を固くした。 キャンディスは必死に言い訳を考えていた。 しかしいい言い訳も思いつかずに口篭っていると、再び感じる圧力のある視線。 ケーキを食べて機嫌もよさそうだったのに今は鋭い視線をこちらに送っている。 (このまま何も抵抗できないまま殺されるなんて嫌よ……!) 焦ったキャンディスは何か言わなければと思うものの、前の時間軸では死ぬほど嫌われていて、首を斬られた記憶があるということはさすがに言えないし説明もできない。
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