三章 愛されない悪の皇女

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だが理由をきちんと言わなければ解放されないことだけはわかる。 パクパクと唇を開きながら言い訳を捻り出す。 「わ、わたくしが泣いたのは……っ」 「……?」 「───皇帝陛下の顔が怖かったからです!」 「ブハッ!」 音もなく部屋の中にいて、扉のそばにいたユーゴが吹き出している。 キャンディスの言葉を聞いて、ヴァロンタンがどう思ったのかわからない。 しかしこれ以上、何かを口にしては死が近づくだけだと口をつぐんだ。 「…………そうか」 しかし意外にも薄い反応が返ってきたことに安堵しつつも、次は何を言い出すかを警戒していたが、口元を押さえたまま何も言ってくることはなかった。 今度は逆に何故怒られないのかが不思議でしょうがない。 (おかしいわ。こんなに優しいのはどうして?いいえっ、これは何かの試練なのよ……!) その考えを裏付けるように次々にされる質問。 質問されたら答えを返す…ということを繰り返していた。 キャンディスが紅茶を飲み終わる頃を見計らってかヴァロンタンは立ち上がる。 ユーゴや侍女にキャンディスを指さして何か合図を送った後に背を向けてしまった。 このまま立ち去るつもりだと思ったキャンディスはソファから降りてヴァロンタンを追いかけた。
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