三章 愛されない悪の皇女

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「昨日のことを怒られると思ったの。それに先ほど、皇帝陛下のお洋服によだれを垂らしたから、もうダメかと……」 キャンディスがそう言うとユーゴは腹を抱えて笑っている。 「くくっ、確かに普段なら首を斬られていたかもしれませんね」 「……えっ!?」 「今日の皇帝陛下は珍しく機嫌がよさそうでしたけどねぇ」 ユーゴの最初に言った「普段なら首を斬られていた」という言葉しか聞こえずに、キャンディスはショックを受けてワナワナと震えていた。 (普段ならば間違いなく殺されていたということ……!?今日はたまたま運がよかったのね。今までみんなに優しくしていたおかげかしら……) こんなに運気が上がるのなら、もっと人に優しくせねばと思ったキャンディスは己の首が繋がっていたことに喜んでいた。 部屋にはいつのまにか数人の侍女が入ってきて、目の前で食器を片付けていく。 そしてキャンディスらケーキを下げようとする侍女に声をかけた。 はしたないかもしれないと思いつつもケーキを持ち帰りたいと頼む。
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