三章 愛されない悪の皇女

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「皇女殿下はそんなにケーキが気に入ったのですか?」 ユーゴの言葉にキャンディスは頷きつつ訳を説明する。 「とても美味しかったから……アルチュールに食べさせたいと思ったの。きっと喜ぶと思うわ」 「アルチュール殿下に?」 「は、はしたなかったかしら!?」 「……いえ、そんなことはありませんよ」 ユーゴの瞳が細まったような気がした。 キャンディスは侍女に箱に詰めてもらったケーキを見てワクワクしていた。 (アルチュールはこのケーキを食べてどんな反応をするかしら。楽しみだわ) 気持ちよく寝ていたせいで乱れた髪とドレスを直しつつ部屋の外に出ると、エヴァとローズが涙目でこちらを見ている。 「エヴァ!ローズ!」 「「キャンディス皇女様っ……!」」 双子ならではの息ぴったりの声、二人はキャンディスを思いきり抱きしめた。 キャンディスも無事を喜ぶように背に手を回す。 感動の再会のように二人と抱き合っていた。 エヴァとローズはバイオレット宮殿の侍女たちに気がついて、すぐに背筋を伸ばす。 ケーキをエヴァが受け取って、ユーゴにお礼を言ってからキャンディスは機嫌よく去って行った。
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