三章 愛されない悪の皇女

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ユーゴの後ろには影が膝をついて控えている。 それを見たユーゴは口を開いた。 「このままホワイト宮殿の監視を続けて、都度皇女の様子を報告しろ」 「はっ!」 キャンディスの背中を見ながらユーゴは「面白くなりそうだ」と呟いてヴァロンタンの元へと向かった。 その頃、キャンディスは部屋に戻り再びエヴァとローズと再開を喜び抱き合っていた。 そして二人に部屋であったことを話すとエヴァとローズの表情が青ざめていく。 「そして一緒にケーキを食べて解放されたのだけれど……その前に眠ってしまってヨダレを垂らした時には死ぬかと思ったわ」 「ヨ、ヨダレ……っ!?」 「皇帝陛下の膝にヨダレを垂らして生きて帰ってきたのは、きっと皇女様だけですよ!」 確かに今、考えるとあの恐ろしくて冷たい皇帝に膝枕をしてもらっていたというのは衝撃的であろう。 あの時は焦ってしまったが泣いた理由を問われたことも意外だった。 (まるで普通の親子みたいな会話だったわ。結局、目的はなんだったのかしら……やっぱり試されていたのよね?) キャンディスの記憶からみると血も涙もない冷徹なイメージがあるが、今ではまた違った感じに思えた。 「昨日、緊張して眠れなかったの。やっぱりヨダレはまずかったかしら……」
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